絶対、逃がさない!②(短編)
 陽菜は泣き顔のまま、叫んだ。



「もう、知らない!

 光くんの、大ばか!」



 言い捨てて、地面に座り込んだ。

 制服の裾がぬれた地面に広がった。

 陽菜は顔を自分の膝に伏せて、隠した。



「ちょ・・・陽菜」 



 また、おれが泣かしてしまった。

 たしかに、おれは大ばか、だよな。



 陽菜を振り回して、混乱させて、伝えたいことも伝えてないのに、勝手なことばかりして・・・。

 陽菜は少しも悪くないんだ。



 おれは、陽菜の前にひざをついた。



「ゴメン、陽菜」


 
 自然に言葉が、でた。



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