WinterAlice*
―チャポーン

旅館やホテルにしかない大浴場がここにある。
なんかこう床が大理石でやたらの湯船が広いヤツ。
ビックリしたわ。

「バスタオスここに置いとくねー」
準備が早いな。
「わかった」
一応答えておく。
「着替えどうしよう・・・
 洗濯し終わって乾燥機にもかけたから着てた服、着れないでもないよー?」
「じゃぁそれでいい」
「わかったー」

もうしばらく風呂につかっていよう。
体は温まってきた。

「ねぇ」
「なんだよ」
「入り終わったらリビング来て。
 そこに居るから」
そう言ってアイツは脱衣室を出て行った。

風呂・・・
そうか、ここはアイツの家の中なんだ。
見捨てて行けばいいものを。
風呂にまで入らせて。
何者だ―?
名前も聞いてないな。
礼も言っておかないと。
こんな俺でも世話になったヤツにはしっかり礼を言うんだ。

―バチャ

風呂を出る。
ツルツルの大理石の上を歩いて、
そのまま出口へと向かう。
―ガラガラ
脱衣室に戻ると風呂に入る前には無かったマットとかご、
かごの中にはバスタオルと着替えが用意されていた。
ふかふかのタオルで体を拭き、
まだ温かい服に体を通す。
素早く着替えを終え、
鏡の前にあったドライヤーを借りて髪を乾かす。
そして俺はリビングに向かった。


リビングに着くとアイツはソファに座っていた。
全体的に白とピンクと赤で統一されたリビングだ。
所々に薄紫の小物も置かれている。
そういえば風呂場も脱衣室もこんな感じだったな。
女の子の部屋ならに女の子の家だ。
明らかにアイツの趣味っぽい。
こんなに家を自分勝手にいじっていいのだろうか。
そういえば俺が玄関であんなに大声だしても誰も出てこなかった。
さすがに気付かないのはおかしい。
親が仕事に行っているとか・・・?
いやこんな広い家だ、
使用人や家政婦がいたって不思議じゃない。

「あ、来た。ここ座ってよ」
俺に気付いたアイツが自分の隣に座れとソファをパンパン叩く。
それに従い俺は隣に座った。
するとアイツはもじもじしだして―

「私と家族になって下さい////!」

と言いました。

って、はぁ!?
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