WinterAlice*
―10分後

「お待たせ」
コンビニ袋をドサリと置く。
地面に。
直で。
「さぁ、好きなのからお食べ」
まるで動物でも餌付けするかのように。
「あ、一人で食べれる?」
コクリと小さく頷いておく。
この状態じゃ喋るのはしんどい。
もうそれからというもの、
食った。
ガツガツと。
通り越してゴクゴクと。
よくビニール袋2袋分もの食料を完食したもんだ。
確かに空腹はおさまった。
しかし何日も雪の中に居た俺は体がガチガチのままだ。
「どーしよっか。歩けないよね・・・。あ、カイロあるよ」
そう言ってカイロを頬に押し付けてきた。
体温が無くなっているに等しい俺にとってカイロはやけどしたかのように痛かったけど、頬が緩んでいく解放感が何とも心地よかった。
口元が緩む。
「なんで助けた?」
うまく言葉が出た。
「なんとなく。立てる?私、力ないから杖にしかなれないけど・・・行こう」
何処へと聞く前に起こされた。
立ってみて女がとてつもなく小さいことに気が付いた。
顔一つ以上違う。
150・・・無いんじゃないか?
小さすぎる杖は予想以上に・・・
使い心地が悪かった。
骨が凍っているような感覚なので猫背になって歩くのは背骨が折れないかと心配になった。
歩いてそうも経たないうちに家に着いた。
「ここは?」
「私のお家。外に居たらご飯あげても死んじゃうでしょ?」
そのまま階段を上り―長いな。
そのまま庭を抜けて―長いな。
やっと家に玄関に到着。
「ま、まずはお風呂入らないと・・・あの・・・」
赤面しながらもじもじしだして、
「一人で脱げる////?」と言った。
「脱げるわ!!」
思わず声を荒げてしまった。
なんてことを言うヤツだ。
「そ、そそそそうだよね。ふ、服洗濯機の中入れといて・・・あの・・・他の準備もしておくからほら、早く入ってきな・・・よ?」
「で、肝心の風呂場は何処?」
「あ、そっか」
俺の手を持ってまた杖の姿勢。
そのまま廊下のつきあたりまで歩いた。
廊下・・・長い。
脱衣室に案内されて「それじゃっ」と逃げるように去って行った。
まだ顔は赤かった。
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