亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――。
―――え?
「………何のために高い金出してお前を買ったと思ってやがる………嫌だの何だの一々言いやがって………お前生きたいのか?そうなのか?………本気か?」
ナイフが額の目に突き付けられた。………もう何度潰された事か。
「………人間様の役に立つために今までお前は生きてたんだ。………散々獣を殺して、仲間食って、人間も殺って………………今更、何だ……図々しいにも程がある…」
「………それはアベレットが言ったから…」
ナイフが肩に刺さった。歯を食いしばって痛みに堪えた。
………叫ぶとアベレットが怒るから。
「俺が言ったから………だから何だ………それでもお前がやったことには変わりねぇだろ?……………経緯なんてどうでもいい。…見られるのは結果だ。世の中はそんなもんだ………」
ずぼっとナイフが抜かれた。
血が滴る。
「……ほら…行けよ!人間様のために、最後まで働け!………殺しながら死ね!………化け物は化け物らしく………」
―――。