亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「………『天の息吹』ってのはな……まぁ簡単に言うと………俺達に対する、神様からの…………警告だ」






―――警告?




「……警告さ。愚かな人間への。………アレスの書の通り世界の均衡が保てず、回復するどころか崩壊への一途を辿っている時………天にアレスが現れる」

「……アレスが?」

「ああ。言い伝えでは、アレスは銀の獣の姿で空を飛来する。………鳥だとか……ドラゴンだとか…」





―――…ドラゴンって何だろう。




キーツの脳裏に摩訶不思議な生命体が出来上がっていた。


「その獣の姿のアレスが、馬鹿でかい鳴き声をあげる。………すると、雲よりも高い天に………銀の、神の文字が浮かび上がる。………内容ははっきりとは分かっていないが………とにかく…世界崩壊の予告、カウントダウンが書かれているらしい。過去に一度あったとか無いとか…」





………そんな事があるのだろうか。


キーツは首を傾げた。世界崩壊の予告……予兆……神の怒り。





「………本当なら…天の息吹が現れるのも、時間の問題だな…」


オーウェンは鼻で笑い、踵を返して塔から出た。
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