亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
10.連理の枝

―――入隊して初日。

大きい灰色の軍服を、裾を折り曲げたりしてなんとか着た後、指定されていた場所に行った。


周りは一端の軍人気取りをしていやがるが、きっと皆俺と同じ孤児だらけ。


売られて買われて捨てられて、そしてまた捕まって。


人身売買の犠牲者が多い筈だ。

後は戦火で一人になったとか、そんなもん。
狂王様の御乱心政治から、国民のほとんどが不満抱えていた。

奴が死んだ後もそうだった。

ごろつきは増える。強盗、窃盗、殺人、強姦………増えて増えて増えまくった。


俺の家族は皆死んだ。

何も無くなったさ。

全部、自分勝手な王族様に奪われた。







ぶっ潰してやる。

こんな国、いらねぇ。
見たくもないね。


あんな城………早く消えちまえば良いのに。



革命派に加わってから、ガラリと環境は変わった。

訓練ばかりの日々。






俺と同じガキなんていない。

…………とか思ってた。






仕切ってる各隊長さんの隣りには、変な奴が一人いた。

金髪で、やけに白くて細い。

独りだった時に声を掛けてみた。そしたらそいつは。








―――失せろ、下衆が。









………驚いた。
声からして女だった。

―――………怖かった。
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