亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
再度、唇を重ねられた。

先程とは違い、ゆっくりとした、深い口付けだった。



………全身の力が抜けていく。

“闇溶け”の時の様な、冷たい空気に呑まれていく感覚とは違う。


不意に、ベルトークの手がマリアの胸に触れた。

豊満な膨らみを撫でられ、マリアはびくりと肩を震わせて小さく喘いだ。ベルトークの舌の愛撫は首から耳へ移り、なぞる様に舌を這わせてきた。


………一回り大きな彼の手が軍服の襟に割り込み、中のブラウスのボタンを外しにかかった。

同時にキスも激しくなる。
……焦燥に駆られているのか、ベルトークの息が荒い。



「―――駄目…………や……め…」

マリアは涙を浮かべた真っ赤な表情で、弱々しい抵抗をした。
しかし、ボタンはどんどん外されていく。






………見ないで。








「お願い…………止めっ………隊長……!」









軍服の上着を脱がされ、マリアの上半身がさらけ出された。


マリアは肩で息をしながら、目を瞑った。

涙が頬を伝った。











「……私…気持ち悪いから………」











ベルトークの目に飛び込んで来たのは、青白い月明りに照らされた白い肌。
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