亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「…………っ………………痛っ…………」

頭が痛い。割れる。

頭の奥から、聞き覚えの無い声が容赦無く響き渡る。

痛い。














―――お姉様、甘やかしてはいけませんわ。世の中の厳しさを知っておかなければ、後で泣きますわよ。

―――……ットは逞しいわね。いいお嫁さんになれるのに。

―――冗談じゃありませんわ!……ン、良いですこと!あのヘタレと結婚した後は、しっかりと尻に敷きなさい!

―――リ……、怖いわ。まだそんなこと分からないわよ。ねぇ、ロ………。














溢れてくる。

一滴一滴、雫の様に、溢れてくる。



その度に、激しい痛みが頭を刺激した。

奥歯を噛み締め、必死で耐えようとする。



「…………っ……………う………………あ………………」






誰?

誰の声だ?

一体………誰の?


















痛みは続いた。


暗い部屋の片隅で、トウェインは独り肩で息をしながら、うずくまっていた。










……………。



















……………総隊長。















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