亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………」

険悪な…何処か奇妙な空気に満ちた部屋を背に、ジスカはゆっくりと、扉の横の壁に寄り掛かった。

薄い壁を隔てているだけで、中での会話は小さく聞こえる。


その反対側で、ベルトークは腕を組んで佇んでいた。
……相変わらずの無表情だ。

「………意味分かんねぇ………どういう事か……俺にも分かる様に、説明してくれませんか……」

帽子を深く被り直しながら、ジスカは横目でベルトークを一瞥する。



……色白の綺麗過ぎる横顔。
ピクリとも動かない薄い唇が、ほんの少しだけ左右に伸びた。

………なんだか腹が立つ微笑だ。


「………気になるか?」

「………そりゃあ………まあ……」


明らかに、自分だけが孤立している状態だ。しかし……中に加わりたいという訳でもない気がした。


「………」


室内から、ぽつぽつと会話が聞こえてきた。

………自然と、ジスカは耳をすませていた。





















頭が痛い。








こめかみの辺りがずきずきと痛む。

神経を走る鈍い痛みと共に、朧気な遥か昔の記憶がフラッシュバックとなって脳裏をかすめる。





………目眩がする。





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