亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
スカイブルーの淡い瞳。
豊かな金髪。
整った顔立ち。
…………昔…よく見ていた………あの…………。
「―――………ローアン………様……?」
アレクセイは思わず、その名を呼んだ。
………似ている…などというものではない。
そのままだ。
そのまま、大きくなられた……姫君の姿。…………懐かしいその姿。
しかし今目の前にいるのは、かの憎いアレスの使者の人間。
………華奢でか弱げな娘に見えても、隙など何処にも無い。戦慣れした、一人の兵士がここにいる。
………アレクセイはこの敵兵士を見つめた。
彼女も彼女の方で、アレクセイをじっと…何か考えながら見ていた。
ほんの数秒の間を置いて、彼女はふと、微笑を浮かべた。
「……………久しいな。……アレクセイ…」
…アレクセイは息を呑んだ。
………?
……………この娘はいったい………??
「……………貴女は…」
………そう呟いた時だった。
アレクセイの前に、突如大きな壁が音も無く落ちて来た。
………否。それは壁ではなく、まるで壁の様な広い背中だった。
「………オーウェン様…」