亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

その夢の中では、私はいつも真っ白な霧の中に立っている。



…毎日日の届かない暗闇にいるせいか、この純白の世界はどうも落ち着かない。



何も無い白い世界。

―――ぐるりと辺りを見回すと………少し離れた所に小さな人影がある。


ああ………いつも夢の中にいるあの子だ。


こちらに背を向けた少女は何も無い場所でしゃがみ込み、可愛らしい声で歌を口ずさんでいる。

腰まである長い金髪に、華やかな赤いドレス。歳は幾つだろうか。まだ十にもなっていないほど幼く見える。

……一度も、こちらを振り返ってくれた事がない。


………お前は誰だ…?
………お前は、何をしているのだ?


………何故、私の夢に現れるのだ?








―――……お前は…。






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