僕のお母さん



そういえば、僕の名字は何て言ったらいいんだろうか……前までは、園長さんの名字の“田中”を使っていたけど、ルミさんの名字は、“佐藤”だから、佐藤って名乗った方がいいのだろうか……





「……あの、先生。僕の名字は、佐藤でしょうか?」





僕が聞くと、先生は不思議そうに首をかしげた。そっか、先生は僕とルミさんの関係を知らないのか……





「ああ、お前は佐藤だ。ここにも、書いてある。」





そう言って、僕の調査書を見せる。それに、先生はどこかいかがわしそうに、僕を見ている。だよね……だって、普通自分の名字は聞かないよね……





キーンコーンカーンコーン





ここで、朝の始まりを告げるチャイムが鳴る。どうしよう……このチャイムが鳴ったら、教室に行かないといけないんだよな。先生が立ち上がる。





「さ、椿くん行こう。」





先生が応接室的なところを、出た。僕も渋々ながら、先生のあとを付いていく。ああ、同じ階に四年生の教室はあるのに、長く感じる……そして、ついに着いた四年三組。





「じゃあ、椿くん。入ってって言ったら入ってね。」





そう言って、教室のドアを開けて中にはいって行く先生。もう逃げられないんだよな。名前言うとき、田中って言っちゃいそうで怖い。





< 17 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop