遠距離恋愛
「ハロウィンパーティーにケータも呼んだから」

あたしは家に帰るなり、次女のアイコに告げる。

「おっ!珍しい!よく来るって言ったね。じゃあ〜これで8人だね!はい、締め切り終了〜!」

アイコは見ていたパンフレットを閉じ、床にポイッと投げ捨てた。


「ちょっと!投げ捨てんなよ〜部屋が散らかる。」

あたしはパンフレットを拾うと、そのままアイコの頭を軽く叩く。


「いいじゃん!どうせまた汚くなるよ。すぐ散らかるんだから。お姉ちゃんが率先してね。」

アイコはニヤリと笑ってパンフレットを奪った。


「見てよ!このコテージ8人までOKなんだって。宿泊する為の寝具とかが、8人用だから」

「成る程ね!ちゃんと31日休みとったから。みんなも大丈夫みたいだし!後は衣装の用意だね!」

二人の会話に三女のサチコが加わる。

「あたしは森の妖精だから!」

背の低いサチコにはピッタリの仮装だ。


「今こうして楽しい思いをすれば、きっとケータ君もアメリカなんて行かないって!」

サチコはあたしに気を使っているのだろう。
ケータがアメリカへ行かない方法を、一緒に探ってくれているのだろうか…


「うん、ありがとうね。名付けて『ケータを日本に引き止め作戦』だね!」

あたしは、胸に秘めた小さな願いをノックされた思いだった。


ダメだ…

ケータがアメリカ行く事、忘れなくては。


二人の想い出をいっぱい増やすんだ。



不安に上乗せしてしまおう。

心を想い出でいっぱいにするんだ。
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