龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
長谷川くんは、前に回り込んで松本さんの腕をつかんだ。

「友達ならいいって言ったじゃないか!」


「友達よ。これからも会えばおしゃべりする。最初に会った頃みたいに」


「そんなの嫌だ! 俺は加奈といたいんだ!」

長谷川くんが叫ぶように言う。


まるで駄々っ子だわ


「泥沼の展開になってきたな。一歩間違えればストーカーだ」

悟くんがつぶやく。

「あれ? しづ姫、どこ行くの?」


慌てたような悟くんを残し、わたしは長谷川くんの横に行った。


「ちょっと、あなた」

わたしは長谷川くんのマフラーを掴むと、ぐいっと下に引っ張った。
長谷川くんの顔が目の前に来る。

「子供みたいな真似はよしなさい」


「だって、加奈が!」


やかましいわね

「大切なものをぶち壊したのは自分でしょ?」


「加奈は分かってくれると思ったのに! 俺がチャラいのは見せかけだって」

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