龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
和子さんに急かされて彩名さんのアトリエに行くと、いきなりバスローブと下着を渡され、シャワーを浴びてらっしゃいと言われた。


どうなってるの?


言われるままにシャワーを浴びて出て来ると、息つく暇もなく髪をブローされ、フワフワした紫色のワンピースを着せられた。

スクエアネックとフリルたっぷりのデザインに見覚えがある。


「彩名さん、これ、お友達のデザインした服じゃ……?」


「そうよ。あれは春のコレクションだから、今の季節向きにアレンジしてもらったわ。わたしからのプレゼントよ」


「えっ? あの……ありがとうございます」


「あらあら、圭吾の言う通りみたいね」

伯母様が言った。


何の事?


「今日は圭吾がデートを計画しているの」

彩名さんがわたしの髪にコサージュ付きのピンを留めながら言う。


「そうなんですか?」


「そうよ。だからオシャレして圭吾の部屋に行って」


「はぁ……」


「ああ、でもその前に写真撮らなきゃ」

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