龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「誕生日おめでとう」


えっ?


「ああ、そうよ。そうだった」

わたしは急に可笑しくなって笑い出した。

「忘れてた」


「そうじゃないかと思ってた」

「開けていい?」

「どうぞ」


箱の中にはハートを象った金のペンダントが入っていた。


「可愛い! つけて!」


圭吾さんにつけてもらうと、金のハートは鎖骨の間に収まった。


「わたしもプレゼントがあるの。ハッピーバレンタイン」


わたしがプレゼントを差し出すと、圭吾さんは微笑んだ。


「昨日織った布だね? 開けていい?」

「どうぞ」


わたし達は床に座った。

圭吾さんが箱を開けてブラウニーをつまんだ。


「これ、志鶴が作ったの?」

「そうよ。ほぼ一人でね」

「ありがとう。おいしいよ」

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