龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「すごい! その蝋人形はどうしたの?」


「たぶん、うちのどこかにまだあるよ。納戸のどこかで見知らぬ男が立っていたら、そいつだよ」


「わたし、きっと驚いて大騒ぎするわね。圭吾さんの変なお買い物はないの?」


「僕は羽目を外さないタイプの子供だったんだ」

圭吾さんは急にニヤッと笑った。

「そういえば今日、志鶴は学校で何かをやらかしたって?」


えっ?


「悟くんから聞いたの?」


「いや、司から」


げ――――っ!


校長の耳にまで入ってたの?


「それ、かなり尾ヒレがついた話だと思う」


わたしは今朝の松本さんと長谷川くんのいきさつを話した。


「昼休みに美月と会ったら、わたしが長谷川くんの胸倉つかんで怒って、泣かせた事になってた」


今度は圭吾さんが笑い転げる番だった。


そんなにおかしい?

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