龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「そういう話だったのか。司もはっきり言えばいいのに言葉を濁すから何事かと思ったよ」

圭吾さんはまだ笑っている。

「でも、『キスマークをつけて学校に寄越すのはやめてくれ』って、そっちははっきりとクレームをつけられた」


うぎゃ―――っ!

そっちも噂になってたんだ!


「圭吾さんが変な事するからよ」

わたしはむくれて言った。


「ごめん、ごめん。だって可愛かったから、僕のものって印をつけたくなったんだ」


悪いなんて思ってないでしょ


ずるい人


「見えない所につけたつもりだったのに」


「見つけたのは美幸よ」


「ああ、あの娘(こ)は目がいいからな」


ついでに声もデカイわ


ああ、でも

楽しそうに笑う圭吾さんを見ていると何だか幸せ


大好き

圭吾さんが大好き

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