龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
羽竜家にいれば、少しでも会えたのになぁ


わたしはベッドの上に仰向けに倒れた。


「圭吾さん」

小さくつぶやいた。

「大好き」


こんなに好きなのに、幼い恋心って言われちゃうのは何故?

大人の恋って何?

キスより先に進めば、身体を重ねたなら、大人の恋?

ううん

親父や圭吾さんが言うのはそういうことじゃない気がする

圭吾さんにあって、わたしにないものって何だろう?


ベッドの上で何度も寝返りうちながら悩んでるのって、バカみたい。


わたしは起き上がって、パジャマのまま居間へ行った。

和室への仕切戸が開いていて、ママのお仏壇に向かって座っている親父が見えた。


「おはよう。早いのね」

わたしはそう言って、親父の横に膝を折って座った。


「お前こそ、もう起きたのか」

「大晦日だもの」

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