龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「甘いわ、志鶴! バレンタインはね、恋人同士が愛を確認する日でもあるのよ!」

いつもは『真面目』の権化のような、委員長の松本さんが拳を握りながら力説する。


「いいぞ、松もっちゃん!」

男の子達が囃し立てた。

「相手いたのかぁ?」


「お黙り、外野っ! 相手はいるわよ」


おおっ! マジで?

人は見かけに寄らない。


「美幸はどうするの?」

「わたしは毎年、亜由美と友チョコ交換だよ」


もったいなーい

男子が合唱するように言う。


「わたしは、その他に義理チョコを十個ほどばらまくわよ」

と、亜由美。


「大野ぉ、義理なのは分かってるけど、敢えて言わんでいいだろう?」

「えっ? 何? お前、亜由美からチョコ貰ってんの?」

「うわぁー、義理でもいいから、俺にもくれー」


大騒ぎだわ


「ねえ、彼女からチョコって欲しいものなの?」

わたしは男の子達にきいた。

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