龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
ええ。近頃じゃ、そこはあんたの指定席よ。


「バレンタインデーの話なんだけど……」

わたしは少し迷った。

美月のお姉さんは、圭吾さんの元恋人だ。

ええい、きいちゃえ!

「お姉さんってバレンタインデーどうしてた?」


みんなはギョッとしたようにわたしを見た。


「圭吾さんと付き合ってた時ですか?」

空気が読めないタイプの美月はアッサリと言った。

「毎年手作りチョコでしたよ。それに小さなプレゼントを付けて。アクセサリーとか、ストラップとか」


手作りかぁ……出来るかな?


「シーズンですから、お店に専用グッズがいっぱいでてますよ」


なるほど


「美月にきくようじゃ、よっぽど切羽詰まってんのね」

亜由美が呆れたように言った。

「一緒に買い物に行く?」


「行くっ!」

よかった。亜由美なら絶対に頼りになる。


「じゃあ、わたしも」

と、美幸。

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