龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】

「どこへ行くって?」

「だから、隣町のショッピングモールだってば」


わたしは、食い下がる圭吾さんに困っていた。


「行きたいなら連れて行くよ」

「友達と行きたいの」


ついて来られちゃ困るのよ。

圭吾さんへのプレゼント買うんだから。


「車、出そうか?」

「人数多いからいい」

「だって、病み上がりじゃないか」

「もう元気だよ。それに悟くんも一緒だから」


悟くんの名前を出した途端に、圭吾さんは黙った。

今すぐにでも確認の電話をしそう。

でも、嘘じゃないもんね。


「ちょっと電話して来る」


分かりやすっ!


もう! 友達と出かけるだけなのに、どうしてあんなに大騒ぎするのかな……

わたしって、そんなに挙動不審?

まあ、悟くんなら上手く言い訳してくれるわ。


しばらくして戻って来た圭吾さんは、渋い顔で

「悟と話した」

って言った。

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