龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「ちゃんと面倒を見るからって言われたよ」


わたしは幼児?


「頼むから、悟と一緒にいるんだよ。具合が悪くなったら無理しないで。すぐに迎えに行くから」


ああ 何だ

わたしの体調を心配してただけなんだ


子供扱いされたと思って、ムッとしたのがバカみたい。

圭吾さんは、この間わたしが熱を出して寝込んだのがよほどショックだったんだ。


「気分が悪くなったらすぐ圭吾さんに電話する」

真面目な顔で約束すると、圭吾さんはフッと笑った。


なぁに? 何かおかしい?


「楽しいんだろうな。悟がちょっと羨ましいよ」


「圭吾さんだって、そういう頃があったでしょ?」


「そうだね」

圭吾さんは伏し目がちにうなずいた。

「僕も君くらいの時は楽しかったよ」


「今は? 楽しくないの?」


「今は、君といる時が一番楽しい。だからうるさく口出しするのさ。寂しくてね」


待ってて

わたしがバレンタインデーにびっくりさせてあげる

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