龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
真夜中ふと目が覚めて、圭吾さんの腕の中でモゾモゾと身を寄せた。

圭吾さんがわたしを抱き直す。


あったかい


大好き


――僕も君くらいの時は楽しかったよ

不意に圭吾さんの言葉を思い出した。


待って

わたしくらいの頃って、高校生って事だよね。

圭吾さんが高校生の頃って……優月さんと付き合ってた。


ああ……そっかぁ


妙に納得した気分


可哀相な圭吾さん

でも、今はわたしがいるわ

わたしが側にいてあげる

優月さんよりわたしの方が、ずっとずっと圭吾さんを好きだもの


――でも、圭吾さんは?


わたしの中で嫌なわたしが囁く


――あんたは所詮二番手よ


黙ってよ

それでも構わないんだから

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