龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「人が何と言おうと、圭吾さんはいつでも優しいわ」


「恋人に忠実なのはいいことだよ」

悟くんはそう言って、ニッと笑った。

「圭吾が君に不満があるとしたら、心じゃなくて体じゃないの?」


えっ! そんな!


「やっぱ、わたしが貧乳だからっ?」


思わず立ち上がって詰め寄ると、悟くんは声を殺して笑い出した。


「しづ姫、周囲に丸聞こえだけど」


うわっ! しまった!


わたしは顔を赤くして座り直した。


「胸の大きさ気にしてたの? 僕が言っているのは、君がまだ身を許さない事が圭吾には不満なんだろってことさ」


ああ……


「えーと……わたしが圭吾さんと……その……そうすれば喜んでくれると思う?」


「無理しても圭吾は喜ばないよ。『好きならさせろ』ってのは男としては最低だと思う。圭吾はそうじゃないだろ?」


わたしはコクンとうなずいた。


「無理して大人のフリをするより、今のバレンタイン計画の方がよっぽど気持ちも伝わるし、圭吾も喜ぶよ」

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