龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】

常盤さんと一緒にいた女性は、大きな建設会社のお嬢さんで、『結婚を前提としてお付き合いしている人』って紹介された。


でも、常盤さん

この人、自分の話ししかしないよ

常盤さんだって、ずっと退屈そう

それでいいの?


わたし、不思議そうな顔をしていたのかも。


「君は別の世界に住んでいるんだね」

常盤さんは苦笑いを浮かべて言った。

「羽竜がうらやましいな。帰ったら、よろしく言っておいて」


わたしはうなずいた。


「わたし達、これからジュエリーを見に行くの」


そう。わたし達はこれから、バレンタインのギフトパッケージを見に行くのよ。


「あなた、いいわね。羽竜さんなら何でも買ってくれるでしょう?」


「ええ」


でも、わたしは圭吾さんさえ側にいてくれればいいの



「すげえ女」

常盤さん達の背中を見送りながら、悟くんがつぶやいた。

< 71 / 125 >

この作品をシェア

pagetop