龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
特設ストアに戻ると、亜由美と美幸は買い物を終えたようで、すぐに見つかった。


「お待たせ。美月は?」


「まだレジ」

美幸がクルッと目玉を回した。

「あの子、あんなに買い込んでどうするんだろ」


「自分用とか?」

美月のやることはイマイチよく分からない。

「わたしもギフトパッケージ買ってくる。目星はつけてあるからすぐに戻るね」


「急がなくてもいいわよ」

亜由美が言った。


ピンクや赤のハート型のパッケージが並んでる。

彼氏が同級生だったら、こんなのを選んだのかもね。

わたしが選んだのは、艶のある深紅の六角形の箱だ。

外側を包む白い薄紙と金色のリボンも買った。


「先輩、やっぱチョコは手作りですか?」

いつの間にか美月が横に立っていた。


「まあね。あんたは、ずいぶん買ったわね」


「義理チョコと友チョコばっかりですけど。早いとこ彼氏をゲットして、来年は絶対に手作りしてみせますっ!」


ああ……健闘を祈るわ

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