【短編集】君に届いてほしいから─冬─
それでも結局一緒にいるわけだけど。
「まーいーじゃん!便宜上ってやつ!やー…しっかし…………」
大和はそこで言葉を区切った。
ろくなことを言い出さないとはわかっていたけど、思わず俺も読んでいた本から顔を上げる。
「あの恋愛嫌いな由宇ちゃんから女の子の話が出るなんてね〜〜〜〜!」
やっぱり。
整った顔を思いっきりニヤつかせて俺に飛びかかってきた大和をかわして、また視線を本に落とした。