君とこんぺいとう
「嫌なら嫌って言えよ。
そしたら、もうこんなことしないから」

切なそうに言う隼人の温かい腕の中で
私は身動きが取れなかった。

「萌」

少し体を離して私を見つめた隼人は
ためらいがちに頬を寄せてきた。

唇が軽く触れた瞬間、私の心は溶けそうになる。

一度唇を離して私を見つめた隼人は
何かを抑え込んでいるような少しかすれた声で言った。

「嫌って言うなら今のうちだぞ」

「隼人…待っ…んっ」

隼人は今度は私に深く口づけると
何度も何度も角度を変えては求めてきた。

(隼人…)

私は激しくなる口づけに
いつの間にか彼の腕にしがみついていた。

どれくらいそうしていたのか。

唇が離れると、荒い息のまま
私たちはお互いを見つめた。

「…隼人」

私はずっと気になっていたことを口にした。

「隼人は…茜さんと結婚するの…?
茜さんのことが好き?」

隼人は驚いたように私を見た。

「茜に何か言われたのか?」

逆に質問された私はうつむいた。

「この状況で
どうして俺が茜を好きだと思うんだ?」

顔を上げると隼人の呆れたような顔がそこにあった。

「それは…」

私が答えに困っていると
隼人は車のエンジンを止めて言った。

「萌の部屋に行こう」

「え?」

「ここじゃ落ち着いて話せない。
なんなら俺の部屋でもいいけどな」

そう言いながらも、さっさと車から降りる隼人。

そして助手席の側に来るとドアを開けて
私の手を引いて車から降ろした。

「行くぞ」

私は隼人に手を引かれたまま
自分の部屋に向かった。
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