君とこんぺいとう
突然の問いに、私の思考は完全に停止した。

「田代のことが本気で好きなのか?」

私は答えを探して視線をさまよわせた。

「田代くんは…いい人よ」

「いい人?」

「いつも私を心配してくれるし
私のことを好きだって言ってくれるし…」

田代くんには好意を持っていると思う。
それは嘘じゃない。

穏やかな時間をくれる彼といると安心できたし
そういう関係もありなんだと思い始めていた。

そう昨日までは…。

昨日の隼人からの電話。

そのたった一本の電話を受けた瞬間から
田代くんへの気持ちが恋じゃないと本当は気づいていた。

彼への好意は恋と呼ぶには穏やかすぎて
でもその居心地の良さと彼の気持ちに私は甘えていたんだ。

私の心を揺らすのは今でも隼人だけなのに。

「萌…」

隼人が驚いたように私を見た。

「何で泣いてる?」

涙を見せたくなくて顔をそむける私の頬を
隼人の大きな手が包んだ。

「萌」

「…離して…」

逃れようとする私を隼人は突然抱きすくめた。

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