君とこんぺいとう
「小川の気持ちが聞きたい」

「え…?」

「小川は俺のことどう思ってる?」

里中の言葉はどこまでもまっすぐだった。

「私は…」

人と深く関わるのが怖くて
いつも本心を隠していた私。

でも里中はそんな私の心の壁を
簡単に越えてくる。

よみがえってしまった気持ちは
もう止められない。

「私も…好き…高校の時も好きだった」

消え入りそうな声で言った私の言葉を
里中はちゃんと聞いてくれた。

「小川」

名前を呼ばれた時には、もう彼の腕の中だった。

「俺、今日花火大会に来て本当によかった…。
すごい緊張したけどちゃんと言えてよかった」

優しく抱きしめられたとき
里中の鼓動も速いことに気がついた。

私は彼の気持ちを体で感じて
涙が出るほどうれしかった。


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