君とこんぺいとう
「え…?」

里中は体ごと私のほうへ向くと
今度はハッキリと言った。

「俺が好きなのは小川だよ」

思いがけない言葉だった。

「高校の時も小川のことが好きだった。
あの時は勇気がなくて伝えられなかったけど
会社で再会して、やっぱりお前が好きだと思った。
だから今度こそちゃんと伝えたかった」

里中は真剣な目をして言った。

(高校の時も…?)

高校で里中が引っ越してしまったとき
悲しくて封印した気持ち。
里中の言葉はその封印を解くカギだった。

「小川…?」

その時の私にはもう花火なんて見えなかった。
見えているのは目の前にいる里中だけ。

ずっと黙っている私に里中は言った。

「ごめん、迷惑だったか?困らせたなら…」

「…違うのっ」

私は我に返ると言った。

「びっくりしただけ。迷惑なんかじゃ…」

私を見つめる里中の瞳はとても優しかった。



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