今宵、貴女と夢心中
八代さんはそう言って、小崎くん目掛けて斧を振りました。
小崎くんの頭に斧がめり込むと、彼は苦しげに唸って後ずさりました。
「残念、君の恋は実らない。死んでも実らない。可哀想だけれどそれも運命。──よい夢を」
八代さんはふらつく彼の腹を蹴飛ばしました。
すると、その巨体は劣化した窓を突き破り、深い奈落へと落ちていきました。
一息ついて振り返った八代さんには、先程までの怪我が見当たりません。
涼しげな顔で、すまして言うのです。
「これでもう、貴女は夢で苦しむ必要がなくなります」