極上お姫様生活―2―【完】
その後あたしたちはちゃっかり夕飯を食べてから、帰る支度を始めた。
「またいつでも帰ってらっしゃい」
お母さんにぎゅうううと思いっきり抱き締められる。あたしも負けじと抱きしめ返す。
「うんっ、ありがと」
そんなあたしたちの後ろで、お父さんが八木原君を強く抱き締めていた。
「娘を頼むぞ!泣かせたりするなよ」
「はい、分かりました」
八木原君は、ははは、と笑顔を弾けさせながらその熱すぎる抱擁に応えていた。
ちょっと止めてよお父さん。八木原君が折れちゃうじゃない。
「じゃあ、行ってきます」
「「行ってらっしゃい」」
お母さんたちは名残惜しそうに、あたしたちが角に曲がって見えなくなるまで手を振り続けていた。
すっかり暗くなってしまった夜道を、八木原君と手を繋いで歩く。
「今日は、ありがとうございました」
「ん?いや、全然」
気にすんな、と笑いながら車道側にいたあたしの手を引いてさり気なく自分の位置と入れ替える。
本当に、感謝してもしきれない。