屋上で
アイツは全部包み隠さず話してくれた。
「俺…本当は波里がイジメられているの、知ってたんだ」
冷時の好きな奴って波里だったのかよ。
まぁ、顔はそんなに悪くないか。
「だけど俺は見て見ぬふりだ。そのくせ…アイツに振り向いて欲しくて声かけてた。でも結局想いは伝わらなかったんだけどな」
「そのイジメの原因ってそれじゃね?」
「極力人目を避けてたんだが……そうか。やっぱり俺のせいか…
―――それに彼女には、俺のせいで重荷を背負わせてしまった…」
冷時は悲しそうな、苦しそうな顔をした。
この時俺は思った。
コイツは俺を信頼してここまで話してくれるんだって。ずっとこの想いを一人で抱えてたんだって。
「俺は……つくづく何も出来ないヘタレだな」
「そんな事ないだろ」
気付けばそう、口走っていた。