屋上で
【千春side】
体育館から脱走した後、やはり私達は屋上に居た。
「千春」
「?」
「…話、聞いてただろ?
俺は千春の事……」
冷時は深刻そうな顔をしている。多分あの話だろう。
ならば。
「冷時。それ、私ずっと言おうと思ってたんだけどね」
「?」
「ありがとう。
冷時が声をかけてきてくれて本当は嬉しかった」
唯一、クラスで声をかけてきてくれたのは冷時だった。
誰も知らないフリを決め込んでいたあの中で私をいつも気遣い助けてくれた。
冷時に声をかけられてイジメが酷かった時でも、私は冷時を恨んだ事はなかった。
それほど私は冷時に話しかけてもらえるのが嬉しかったから。
それに冷時に怒るだなんて間違ってる。