屋上で


「鈴木くーん!」




この声は…




「?お前、誰?」




「私、岡野美利って言います。
――…あれ?もしかして波里さん、鈴木君と知り合いなの?」




あぁ、またこの視線…


気分悪くなってきた。




「うん。大事な友達」




だけど、そんなの悟られたくない。
私はきちんと笑って何でもないというような感じで返答した。




「…へぇー…
じゃあさ、私を鈴木君に紹介してよ」




嫌だ。

岡野さんなんかを鈴木に紹介したくない。

でも……




「おい、“千春”。
――…コイツお前の知り合い?」




「うん。中学の同級生」




できるだけ平静を装って話す。




「そうなの。
それより私、鈴木君のプレーみて感動しちゃった!
これから一緒にお昼食べに行かない?」




嫌だ。行きたくない。




「悪ぃけど、俺コイツとこれからデートなんだ。
…邪魔しないでくれるか?」




そう言って鈴木は私を背中から抱き締め、私の頭の上に顎を乗せてきた。



は、恥ずかしい…


っていうか鈴木そんなことしたら誤解されちゃうよ…!?


今イチ鈴木の意図が分からない。
< 184 / 235 >

この作品をシェア

pagetop