年下のカノジョ~あの子は高校生~
1】裸でたたずむ彼女?!
 俺は自分の部屋の寝室で腕時計を探していた。

 不意にはずしてしまったので、何処に置いてしまったのか見当がつかない。

 大して広くもない部屋なのに。

 床に置いた雑誌をどかしてみたり、ジャケットのポケットの中を探ってみたり・・・・・・。

「おっかしいなぁ。
 ここではずしたのは確かなんだけど」

 ベッド脇のサイドボードの中もくまなく探す。
 
 あるはずはないと分かっていても、枕をひっくり返してみたり、シーツをめくってみたり。


 挙句の果てにはベッドを移動する始末。
 
 それでも見つからない。



「何処にやっちゃったんだろう」
 腕を組み、ため息をつく。

 こつこつとお金をためて、ようやく買ったお気に入りの腕時計。
 
 これ以上どこを探していいのか分からず、床に座り込む。

 頭を掻いてはまた、ため息が漏れる。



「あぁ~、困ったなぁ」
 がっくりと肩を落とす。
 

 そんな俺の背後に誰かが立った。
 



―――あれ?
   この部屋には俺一人だけのはずなのに。
   来客の予定もなかったよなぁ。
 

 不審に思い、顔だけで振り返ろうとした時、名前を呼ばれた。 

「・・・・・・さん。
 三山さん」
 
「えっ?」
 

 俺は自分の耳を疑いながらも、頬が緩む。

 その声の主は愛してやまない俺の大好きな人。

 ただし、現在は淋しくも片想い中。 



 耳に心地よい、いつもの可愛らしい声で由美奈ちゃんが俺を呼ぶ。

「三山さん」
 
 声が聞けた嬉しさで、『どうして彼女がここにいるのか』ということまで頭が回らなかった恋愛盲目病重症患者の俺。


「なんだい?」
 

 ゆっくり立ち上がって振り向くと、寝室の入り口の所にいつもとはまったく違う格好の少女がいた。


< 1 / 718 >

この作品をシェア

pagetop