年下のカノジョ~あの子は高校生~
「柏木 由美奈です。
 私の幼馴染で、同じ高校の1年なんですよ。
 これ、彼女の連絡先の番号です」

 携帯電話を開いて連絡先の電話番号を山崎さんに見せながら、田口さんが告げる。


 山岸さんは愛用の手帳に名前や、番号を書き込んだ。

「ありがとう。
 ところで、柏木さんはここの場所分かるかしら?」
 書き付けた手帳を閉じ、山岸さんが田口さんに尋ねた。


「大丈夫です。
 彼女の家、ここから割りと近いんですよ。
 通りの先の山田歯科のそばに住んでいるんです。
 店に来たこともあるみたいですし」

 田口さんは無事に友達が確保できて、ようやく緊張が解けてきたみたいだ。



―――そりゃぁ、大人4人に囲まれてあんなに必死な顔つきで見守られていたら、緊張するよなぁ。


 ま、何はともあれ一安心てところだ。



「それなら、裏口に回ってもらえるように伝えておいてくれる?」
 先ほどとは別人のように落ち着いた顔つきの山岸さん。

 
 お客と直に接するホール係のマネージャーともなれば、その気苦労は計り知れない。
 
 『忙しい』、『人手が足りない』という店側の事情は、来てくれたお客には何も関係ないのだから。



「はい、分かりました」
 ぺこりと頭を下げて、田口さんは去っていった。








< 16 / 718 >

この作品をシェア

pagetop