☆一番星☆
慌てて舜の胸を押して……




「しゅ……ダメ、だって」




息を切らしながら、必死に言葉を発する。




「何で?」


「あたし……まだ、そういうことは……」




できない。




「……」




舜は黙ってしまった。


……怒っちゃった?




「ごめん。……俺、急ぎすぎた」




そんなことない。


お互い好き同士なら、こうなることは当たり前。


舜だって健全な男だもん。


先を望むのは当然のこと。


でもあたし、怖いんだ。……先に進むことが。


無意識に、大好きな顔で笑っている優太を見た。


優太、……あたし、先に進んでもいいのかな。




どうして何も答えてくれないの?


目尻からこぼれた一粒の涙を拭った。




「舜、今日は泊まっていくでしょ?」




返事を待たずに、布団を敷きに行った。


どこに敷くか迷ったけれど、以前お昼寝した時のように、蒼太の横に敷いた。
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