今までの自分にサヨナラを


弱くて折れそうで、覚悟なんて何もできてなかった弱虫。


我慢して嘘で固めた鎧がなくなれば、私は弱いだけ。


だから私は、反対するお母さんを責めたくなる。


「お母さんの言ったことは何も間違ってないよね。今の俺じゃあ、反対されて当然だよ……」


なのに、彼は誰も責めないのだ。


そう、自分だけを責めてしまう。


彼の声ははっきりしていたけれど、それは届かないところまで沈んでいきそうだった。


深い深い闇の海底へ。


私の方が苦しくてたまらない。


「悪くない。……光は、悪くないよ……」


その時、静かに涙が頬をつたっていった。



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