今までの自分にサヨナラを
お母さんの厳しい顔が、思い出したくもないのにうかぶ。
瞳から溢れだした涙は、一度通った道を辿って音もなくテーブルを濡らした。
「お母さんがわかんない……。わかろうともしてくれないなんて」
涙が流れれば流れるほど、心が闇にのまれていく。
信じていたから、味方だと思っていたからこそ、お母さんに裏切られた気分になる。
そうやって誰かを責めないと、私が壊れそうなんだ。
「そんな風に言っちゃダメだよ。さゆのこと、一番に想ってる人なんだから。俺なら頑張るから――」
また涙が溢れかえる。
彼の透明な綺麗な声に、自分の心の汚さが見えた気がした。