今までの自分にサヨナラを
見なくても私の部屋に入ってきたのは間違いなくお母さん。
一言も口を利くことはなく、お母さんは畳まれた洗濯物をタンスにおさめていく。
何とも居心地の悪い空間に響くのは、タンスを開け閉めする音だけ。
お母さんの顔をまともに見られそうにない私は俯いて、いくら見たって変わらないテーブルの木目に視線を落とす。
奇妙なまでの静かさと、お母さんという存在を背中に感じるだけで、私の胸は鉛でも入ってるみたいに重くなる。
だけど、そんな私の耐える努力も、一瞬で打ち破られた。
「わかってるわよね……、さゆ」