今までの自分にサヨナラを


邪魔するもののない一面に広がる淡い水色の空。


地上より高い場所を吹くひんやりとした風に、高く結んだポニーテールがなびいた。


耳を澄ませて聞こえるのは、学校の前を流れる川のせせらぎ。


まわりには家々の色とりどりの屋根が見え、土手の向こうにある川もよく見える。


「ここが四階の庭園なんですよ。すごいでしょう!」


案内は生き生きとした菅野先輩に任せきりにして、ぼんやりと流れゆく川を見つめる私。


あの人の言葉によって更に私の心の霧は濃くなった……。


もやもやと広がって苛立ちがつのる。


冷たい風が吹き抜けても、少しだって霧は晴れてくれないのだから……。



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