今までの自分にサヨナラを
夢のもち方さえ忘れたんだ、私は……。
その時、左手をぎゅっと握られた。
優しい優しいあたたかさ。
ここにいるんだと証明してくれる、そんな力強さ――。
視線を前に移せば、茜ちゃんがいつもの元気な笑顔を見せてくれてる。
「大丈夫。さゆりんは、さゆりんらしくいればいいんだよ。さゆりんは、そのままで素敵なんだから――」
茜ちゃんの言葉が胸に入り込んで、しみていく。
私らしく……。
私は素敵なんかじゃない。
茜ちゃんにそんな風に言ってもらえる資格なんか、私にはない……。