今までの自分にサヨナラを
その刹那、本棚を見ていたら、二人の言葉がよみがえった――。
小説……。
ずっと奥にあったものが引っ張りだされて、心がもやもやと晴れない。
……確かその本棚にあったと思う。
未練たらしく残された、昔の私の断片。
「……ねえ、お母さん。そこにさ、小学生の頃使ってた小花柄のノートある……?」
何言ってるんだろう、私。
今更あんなもの出すなんてどうかしてる……。
「小説の?急にどうしたのよ」
お母さんは渋々ながらも本棚を探り、やっと出てきたのは懐かしい姿だった。