ヘタレ王子とヤンキー姫
カラオケは盛り上がった。

春樹と樺音は、ほぼ高得点だった。

「お腹すいたね。」

「ちょっと休憩しようか?」

メニューを見ながら、それぞれが食べたいものを決めた。


樺音がまとめて注文する。

「僕ちょっとトイレ。」

春樹が部屋から出て、トイレへ向かう。

「前島?」

振り替えると、中学時代の同級生が立っていた。

春樹の顔がひきつる。

「久しぶりだな。」

春樹は、指を噛んでいた。

本人は無意識のうちにやっているようだ。

いつもは3人が気づいて注意してくれるが、今は誰も止めてくれない。

一度誰も気づかずに、春樹が指を噛みすぎて、肉腫れを起こしたことがあった。

「そんな顔すんなよ。あのときは悪かったよ。」

その少年は頭を下げて謝った。

「お前相変わらず童顔だな。」
そう言って少年は笑うと、友達に呼ばれ、春樹に手を降って去っていった。

“カリッ…カリッ”春樹の爪が削れていく。
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