会いたい

 幽霊は追いかけてきたりはしなかった。
 門も開け放して、私は走った。
 そうして薄野原を通ると、また、哀しくなってきてしまった。

「――」

 その場にしゃがみこんで、私は息を整える。
 どうしてだろう。この頃は、哀しいことばかり起きる。
 期待しすぎるから、いけないのだろうか。
 私はただ、はっきりした答えがほしかったのだ。
 中途半端な状態に、透が私をおいていってしまってから。
 三年前の私は、こんな風になるなんて、思ってもいなかった。
 透がいて、私の傍にいて、二人でいろんなことをして。
 それがずっと続くものだと思っていた。
 やがて私達は結婚して、子供が生まれて、二人で年を取って――そんな風に、生きられると思っていた。
 そう、信じていた。

「とおる……」

 私は、こんな風に終わりたくはなかった。

 終わりたくはなかったのだ――
< 12 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop