会いたい

「――いつも夢を見てるような、風みたいに自由な、一人でも生きていける、そんな奔放な、惹かれずにはいられない、そんな、人でした――」

 そしてもう二度と、帰らない。
 帰ってこないのに、何故私は待ち続けるのだろう。
 こんなに素敵な人と新しい恋を始められないのだろう。

「――羨ましいですね……」

 吐息のような、呟き。

「――」

 椅子を引いて、高木さんは立ち上がった。
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