会いたい
「ねえ、あなた」
私は幽霊にかけよった。
「この前よりも、もっと透けて見えるわ。どこか具合でも悪いの?」
私の心配そうな顔を見て、幽霊は首を振った。そして笑う。何の心配もいらないのだというように。
でも、それはひどく頼りなげに見えた。
私は、その時初めて、この人は生きている人間ではないのだったということを、強く実感した。
この人は、生身の体を持たない、魂だけの存在なのだ。
それでも、生きている人間と何ら変わらないその反応を、私は錯覚していただけだったのだ。